ケースその3・近景夜景写真
撮影時設定そのまま
4月撮影、赤レンガ倉庫横にある旧横浜港駅です。春霞と曇天により近くのビルさえ霞んで見える状況下での撮影でした。また、雲への反射により空は赤く、それでいてアスファルト部は街灯の影響で緑色に色かぶりしています。(写真を900×600に拡大)
改善点と方向性
傾き補正および不要部分のトリミング(切り取り)を行い、空の色を夜っぽく仕上げるとともに青を基調とした仕上げにして都会的な冷たさを表現してみます。霞みにより遠景は期待できないので無理に強調せず近景を美しく仕上げることを最優先にします。
処理内容
- 傾きを補正し、余計な部分を切り取って構図を安定させる。
- 全体を青に統一しつつ空のマゼンタ(赤紫)かぶりを緩和させる。
- コントラストと黒レベルを上げ、画像を引き締める。
- シャープネスを上げ、画像を引き締める。
ケース1同様、色彩のコントロールで大きく雰囲気を変えますが、ケース1との最大の違いは元の写真の質です。こちらは撮影条件が悪いため、遠景を切り捨てて駅舎をメインに据えて現像します。
1.傾きを補正し、余計な部分を切り取って構図を安定させる。
傾きを補正し、駅舎を強調するため左側一部と下側一部をカットします。特に左端に見えるビルは霞んでしまっているのでカットします。
※RAW現像作業中は画像を100%(等倍)表示せずにモニター内に収まるサイズで作業していると思いますが、傾き補正をする際は必ず100%表示にして行ってください。縮小したままでは正確な傾き具合が把握できません。
- ①の回転スライドバーを左へ。0から-1.00に変更。
- ②のメニューから操作モード→トリミング領域指定でトリミング。
調整後(調整後画像クリックで拡大)
⇒2.全体を青に統一しつつ空のマゼンタ(赤紫)かぶりを緩和させる。
夜景を撮ると街灯の性質上緑かぶりという画面全体が緑色になってしまう現象が起きるため、マゼンタ方向に色偏差を操作して緑かぶりを抑える場合が多いのですが、今回は空のマゼンタを緩和するためあえて緑側に振ります。アスファルトなどの緑かぶりは補正するのではなく、全体に青みを持たせることによって緩和させます。
- ①のボタンを押し、ホワイトバランス設定に切り替える。
- ②のホワイトバランスバーを左へ。4427Kから3000Kに変更。
- ③の色偏差バーを左へ。15から10に変更。
調整後(調整後画像クリックで拡大)
⇒3.コントラストと黒レベルを上げ、画像を引き締める。
空気の透明度がそれ程高くない日に撮影したので、コントラストを高めて白っぽくなった空を引き締めます。また、黒レベルを上げ駅舎のアスファルト部分を暗くして夜に浮かび上がる駅舎の雰囲気を強調します。
- ①のボタンを押し、調子設定に切り替える。
- ②のコントラストスライドバーを右へ。1.50から1.70に変更。
- ③の黒レベルスライドバーを右へ。0から10に変更。
調整後(調整後画像クリックで拡大)
⇒4.シャープネスをかけ、画像を引き締める。
最後の仕上げにシャープネスをかけ、画像を引き締めます。やり過ぎるとギザギザが発生してしまうので程ほどに。また、RAW現像作業中は画像を100%(等倍)表示せずにモニター内に収まるサイズで作業していると思いますが、シャープネスをかける時は必ず100%表示にして効果を確かめながら行ってください。
- ①のボタンを押し、シャープネス設定に切り替える。
- ②のシャープネスバーを右へ。13から20に変更。
遠景部分をカットしたうえ、ブレ等はないのでシャープネスは味付け程度にかければ充分でしょう。
完成
撮影条件があまりよくなかったので、大きくイメージを変えて仕上げました。温かみを排除し、冷たさを強調することによって空のマゼンタかぶりや屋根の黄ばみを解消しました。(写真を900×600に拡大)