夜景と記念撮影
はじめに
美しい夜景をバックに記念撮影。どなたも一度くらいは試した事があると思います。人物と夜景を一緒に撮る場合は背景の夜景を撮るために長時間露光をしつつ、人物に光を当てるためにフラッシュを使用します。手ブレ防止はもちろんですが、この時注意しなければいけないのが「被写体ブレ」です。
カメラブレと被写体ブレ
カメラブレというのは撮影者自身やカメラがブレる事によって像が乱れる事ですが、被写体部ブレというのは露光中(シャッターが開いている間)に被写体が動く事によって被写体の像が乱れてしまう現象です。これには手ブレ補正機構も役に立ちません。よって、夜景と人物を一緒に撮る場合には露光中に被写体にジッとしてもらう必要があります。被写体となる相手にフラッシュが光った後も少しの間ジッとしてもらうよう一声掛けておきましょう。
シャッター速度は短めに
被写体が人間である以上、そんなに長時間静止してもらう訳にもいきません。そこで、シャッター速度は極力短くして被写体ブレを防止しなくてはなりません。シャッター速度は長くても1/8秒ほどにしたいところです。人物は通常の夜景と違って絞りを開けて(f値を下げて)撮影するため、比較的シャッター速度を短くしやすい被写体です。ISO感度も400(場合によっては640や800)くらいまで上げれば充分な明るさ&シャッター速度を得られるでしょう。
とは言ってもこの撮り方が出来るのは背景が明るいイルミネーションや街明かりの場合のみ。郊外の夜景のように充分な光量のない場所では光量を得るためにある程度シャッター速度を長くしなければなりません。
夜景&人物撮影の設定は?
お持ちのカメラに夜景人物モード、もしくはスローシンクロモードがある場合はどちらかに設定してください。どちらもない場合は後述します。
スローシンクロ?
スローシンクロというのはフラッシュ+長時間露光にする設定です。フラッシュだけでは人物は明るく写るものの、背景の夜景は真っ暗になってしまいます。よってフラッシュで被写体を照らしつつ、背景を撮るためにシャッター速度を長くをすることです。夜景人物モードもほぼ同じ設定だと思って頂いて結構です。このモードの特長は被写体の明るさと背景(夜景)の明るさをカメラの方でバランスよく同調(シンクロ)させてくれる事です。
どちらもない場合は?
夜景人物モード、スローシンクロがどちらもない場合は以下の方法を試してみましょう。
- 夜景モード+フラッシュ強制発光
- Mモード(またはAvモード)+フラッシュ強制発光
1.夜景モード+強制発光
夜景モードでは夜景のみを撮る事を前提としているのでフラッシュは発光させません。そこで手動でフラッシュを強制発光にします。そうすれば夜景と人物を同時に撮る事が出来ます。ただ、夜景モードは絞りを少し絞る場合が多いためシャッター速度が長くなるので三脚を使いましょう。
2.絞りを開けて入る光の量を増やす
M(マニュアルAE)かAv(絞り優先AE)モードで夜景の明るさを測り、フラッシュを強制発光させる事で人物を照らして撮影します。主にデジタル一眼レフやハイエンド機で使う方法です。ここで気をつけて欲しいのが、カメラがシャッター速度と絞りを測り終えてからフラッシュを強制発光にすることです。フラッシュを強制発光にしてから測光するとカメラが「フラッシュを焚けば明かりはじゅうぶん」と判断してしまい、シャッター速度を短くしてしまうためです。
ピントは人物に
夜景&人物撮影の主役は人物です。当然ピントは人物に合わせる事になるのですが、夜の人物は暗いのでカメラのAF(オートフォーカス)ではうまくピントを合わせられない事があります。特に背景がイルミネーションのような明るい風景の時はそちらにピントが合ってしまう事もあります。そういった場合には被写体に明かりになるもの(携帯電話の液晶画面など)を持ってもらい、それを元にピントを合わせる事もできます。
意外と届かないフラッシュ
夜間にフラッシュを焚くと強烈な光を発しているように見えますが、意外とフラッシュの光は届いていないものです。コンパクトデジカメで撮る場合は被写体に2~3mくらいまで近づいて撮りましょう。
フラッシュ活用番外編
夜景を撮る時に遠くの風景だけでなく、撮影者自身の立っている場所も一緒に写すことによって臨場感を出す事ができます。しかしながら夜景スポットは暗い所も多く、通常の撮影では足元が真っ暗に写ってしまいます。そういった時にフラッシュを使って足元やフェンス、ベンチなどを照らす事によってスポットからの夜景とスポットそのものを写す事ができます。(作例を800×600に拡大)
難しい「自分撮り」
場合によってはカメラを自分の方に向け、自身でシャッターを切るいわゆる「自分撮り」をする機会があると思いま す。やってみるとこのやり方は難しく、まして背景が夜景ではなかなかうまく撮れないものです。感度(ISO)が自由に設定できる機種なら800~1600くらいまで上げてみましょう。被写体ぶれ防止にもなります。できない場合は前述した夜景人物モード等を使用しましょう。また、自分撮りの場合、カメラをしっかり持つ事ができないので手ブレを起こす危険もありますので、数枚撮ってみて仕上がりの良いものを選びましょう。